技術評論社のサイト gihyo.jp にて、安田豊准教授による記事2件が公開されました。2件とも、米国のAI処理向けプロセッサ開発企業を訪問したレポート記事で、1件目は2022年9月22日に公開されたCerebras Systems社訪問レポートの記事、2件目は2022年9月30日に公開されたEsperanto Technologies社訪問レポートの記事です。
1件目の記事では、「30センチのウェハー丸ごと1枚のチップ」を使ったAIスパコンを作っているスタートアップ企業Cerebras社を訪問した際の見学・取材した内容が書かれています。このCerebras社については、安田准教授は2020年にも同様に訪問取材した記事(コロナ禍前の訪問時の様子)を書いており、今回の記事は2年半ぶりの取材内容となっています。ですので、今回の記事を読む際には、2020年時の記事も一緒に読むことで、ウェハースケールのコンピュータチップの位置付けや新たな技術開発の事柄を知る機会になるでしょう。
2件目の記事では、RISC-Vによる汎用プロセッサをベースにしたAI向けプロセッサを開発している企業、Esperanto社を訪問した取材内容が載っています。そこでは、AIの内部処理に関わる特性と消費電力に関することから、設計段階でのFPGA開発ツールを用いたシミュレーションのこと、ムーアの法則やコストに関することまで、いろいろな観点でのAI向けプロセッサ開発に纏わることが対話形式で書かれています。
なお、AI技術にはNVIDIA社のGPUを利用することが多いのは一般的に知られていますが、深層学習の処理はGPUだけができる物事ではありません。電力効率の問題や特定の処理向けの性能についてなど、様々な場面や応用への展開および技術革新が見込めるため、スタートアップから大企業まで様々なコンピュータ系企業がAI処理向けのプロセッサやシステムの技術開発、製品化に取り組んでいます。Cerebras社やEsperanto社も、そのような動向の中でのコンピュータハードウェア系企業の2社です。記事の内容からは、そういった企業の最先端技術への取り組みはもちろん、シリコンバレーならではの半導体スタートップ企業の風土や動向についても知ってもらえると幸いです。