第1回デジタルコンテンツコンテスト

 2006年春学期に実施したコンテストの審査結果作品募集の情報を載せています。

注)この時点では、まだコンピュータ理工学部は発足しておらず、理学部コンピュータ科学科主催として実施していました。

審査結果

 応募全9作品の中から、次のものを最優秀賞・優秀賞として表彰します。また、審査過程で話合った結果、1作品に対し制作努力をたたえて審査員特別賞を授与することにもなりました。以下にその審査結果と各受賞作品への講評および総評を述べます。

最優秀賞

「共感覚」(映像作品)[講評]
作者:中谷文彦(理学部コンピュータ科学科)

優秀賞

「春 (Spring)」(フォトムービー作品)[講評]
作者:谷村孟紀(理学部コンピュータ科学科)
「大空焦がす、突き刺さる」(映画)[講評]
作者:松下周平(法学部)、江崎寛康(理学部計算機科学科)、三苫亮(理学部計算機科学科)

審査員特別賞(努力賞)[講評]

「Cooking War」(ゲーム作品)
作者:西祐貴(理学部コンピュータ科学科)

各作品の講評

最優秀賞 「共感覚」(映像作品)
 まず何よりも映像自体のテンポが良くてコンセプトに関係なくても見ていて面白い作品です。共感覚というテーマは表現の難しい新しい題材であるにもかかわらず制作者のメッセージがよく伝わってきます。共感覚を持つ人たちの辛い面が映像を通して伝わるだけでなく、見るたびに別の感じ方を与える良い作品になっています。
 技術的には、画像編集で動画とシームレスに融合している点が興味深いのですが、ビジュアル表現がAfterEffectsのエフェクト処理等に頼りすぎているところが少し気になりました。でも第一回のコンテストで内容も手探りであったのにもかかわらず完成度は高く、しゃれた感じで鑑賞に値する作品でした。
優秀賞 「春 (Spring)」(フォトムービー作品)
 映像の美しさと優しさ、それとマッチした音楽の選択が見る人に心休まる「いやし」を感じさせることに多くの審査員の評価が集まりました。加茂川沿いの桜の風景という題材が静止画を動画風にするフォトムービーの手法でうまく表現できていました。
 静止画の中に置いたモニターに動画を映し出すという手法は、作者と作品を共有しているようないい感じなのですが、もう少し静止画面のデザインに工夫がほしいという意見と画質をもっとよくすべきと言う意見がありました。
 加茂川沿いは春だけでなく初夏の緑のトンネル、秋の紅葉、冬の雪景色と四季それぞれ美しいので連作にし、それに合わせてフレーム静止画を工夫してみてはという提案もありました。
優秀賞 「大空焦がす、突き刺さる」(映画作品)
 30分という長大な映画を作るパワーと技術それにチーム力が評価されました。その中でもオリジナルのBGMを使うこだわりと時の流れ(たぶん記憶の密度)を数種の異なる映像制作法で表現した面白さが買われました。しかし、ストーリに関しては多くの審査員が「わからない」としています。難解というよりは内容が荒いのでしょうか。1990年から2005年までの何を出演者たちに語らせようとしているのかをもっと判りやすくしたほうがよいのではないでしょうか。
審査員特別賞 「Cooking War」(ゲーム作品)
 RPGは実際にプレイしなければストーリーの面白さや状況設定の複雑さなどが十分には分からないので評価をつけ難いというのがほとんどの審査員の感想でしたが、今回の応募作品の中では多少のプログラミングを含んだ上で、唯一インタラクティブな作品でした。コンピュータ科学科主催のコンテストなので、今後もプログラミングを主にした作品の応募を奨励するという意味で特別賞を作りました。ゲームとしてはストーリーの主題を食材にとった内容が面白そうですし、ゲームのエンディングを見るまでに8時間もかかる作品を制作した努力が高く評価されました。
 このようなゲーム系の作品は、オートプレイのデモ作品をつけて作品中の見どころ(対戦シーン)やストーリーの面白さを訴えるなど、提出形態とそれに応じた演出に工夫をすることも一つの手でしょう。

総評

 まず、作品応募をしてくれた学生達には、大学での勉強の忙しい中、作品制作と応募をしてくれたことに感謝します。
 今回は学内で初の試みとして、作品種別を問わない形でデジタルコンテンツコンテストを行いました。当初は、作品応募が少なすぎたり、あまりに稚拙でコンセプトもないようなものばかりにならないか、心配をしていました。実際の応募作品の内訳は、映像・ムービー系作品が4作品、イラストが1作品、ゲームが1作品、CGプログラムが3作品という内容でした。初回としてはまぁまぁの滑り出しではないかと感じています。ただ、Flash等のオーサリングソフトウェアを利用し、マウスやキー操作によってインタラクティブに動作する作品なども期待していたのですが、そのような作品は見あたりませんでした。映像系作品に関しては、制作規模が予想外に大がかりな作品やコンセプトがしっかりした作品など予想以上のものが応募されました。このような作品は今後も出てくることを期待します。
 但し、作品によっては、自分のオリジナルではない画像や音楽などを利用しているものもあり、著作権について十分注意してもらいたい、という意見もあります。(今回は外部公開するようなことはしませんので問題にはなりませんが)
 次回以降については、アニメーション作品やインタラクティブなコンテンツ、イラスト、音楽作品など、より幅広く様々で数多くの作品が応募されることを期待します。また、コンピュータ科学科の学生には、プログラミングや数理的な処理等を含めたコンテンツ制作に取り組む事も期待します。(例えば、Windows Media Player の視覚エフェクトや、複雑系計算を元にした風景画作成、マイコンを利用した電子的なおもちゃ等でも歓迎です)

作品募集

第1回デジタルコンテンツコンテスト開催について
 デジタルコンテンツ作品(ジャンル・種類を問わず)を募集して、優秀作品を選出・表彰します。(優秀作品には賞金授与!!)

募集作品の例

  • CGアニメーション、画像、メガデモ、映画、CM、PV、その他ムービー
  • サウンド・音楽、DJ / VJパフォーマンス
  • ゲーム、エンタテインメントシステム
  • Webページ、ガジェット、インスタレーションなどのメディアアート
  • その他インタラクティブなコンテンツ・システム、などなど・・・
    とにかく、作品制作か作品鑑賞にコンピュータ(パソコンに限らない)を利用したものであれば何でもOK!

優秀作品とその賞金

  • 最優秀賞(1作品):3万円分金券
  • 優秀賞(2作品):1万円分金券

応募資格 本学学生の個人もしくはグループ

応募締切 2006年6月28日(水)までに理学部事務室またはコンピュータ科学科平井へ提出

応募作品の提出条件について

  1. PCで鑑賞する作品の場合は、CD-RかDVD-Rで提出する。
    インスタレーションやガジェットのような装置、紙面で印刷した物が作品である場合、提出可能であればその物自体を提出してもよい。(作品の紹介ムービーを提出するのでもOK)
  2. 作品コンセプトや内容・制作過程の説明文書を付ける。その文書には、作品制作環境(マシン環境やソフトウェア等)も記載すること。(技術的な苦労、テクニックなども書いてOK)

問い合わせ先 理学部コンピュータ科学科 平井重行