コロキウム

コンピュータ理工学部では、およそ月に一度、学部教員が自身の研究や専門に纏わるトピックをCSEコロキウム(談話会)として学内で講演しています(基本的に14号館1Fの14102教室で実施)。また、学部内で不定期開催している「脳・インテリジェンス・メディアの会」でも外部講師を招いてセミナーなども実施しています。事前申込は不要のうえ、入場無料です。一般の方の参加も歓迎します。
 以下にこれまでのISEコロキウム(旧称CSEコロキウム)およびセミナーの開催記録を掲載します。

 2023年度 / 2021年度 / 2019年度 / 2018年度 / 2017年度 / 2016年度 / 2015年度 / 2014年度 / 2013年度 / 2012年度 / 2011年度 / 2010年度 / 2009年度

 
2023年度開催

第45回 ISEコロキウム(2023年12月27日)
「スイス・ヌーシャテル大学での在外研究」についての報告
 林原尚浩(情報理工学部)

要旨: スイス・ヌーシャテルにあるヌーシャテル大学(Université de Neuchâtel)において一年間(2022年9月から2023年8月)在外研究を行いました。滞在中は大学の同僚と行った高信頼実行環境(TEE)を用いたセキュアなリーダ選挙についての研究についてご説明いたします。また、この研究過程で得た知見を元にIoT/エッジコンピューティング環境における安全な実行環境やセキュアなコンピュータデバイスの入出力機構の実現などに関する発展的な研究についてもご紹介いたします。さらに、スイスでの生活、子育て、滞在許可の申請、様々な祭りなどのイベントについて写真と共にご紹介いたします。
今後、留学や在外研究をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

 
2021年度開催

第44回ISEコロキウム(2022年2月10日)
「車載システムのIoTセキュリティに関する取り組み」
 井上博之 (情報理工学部)

要旨: 自動車や家電のような組込みシステムは、身の回りのいろいろなモノが相互につながるIoTシステムの一部であり、ネットワークにつながることにより利便性が向上する反面、情報セキュリティについての課題は多い。これまで行ってきた広域ネットワークにつながる自動車(コネクティッドカー)における車載システムのサイバーセキュリティに関する研究内容を説明し、また、若手セキュリティ教育の実際などについても紹介する。

 
2019年度開催

特別コロキウム(2019年7月3日)
「平成から令和へ 変革へ挑戦する中小企業」
 鈴木 滋朗氏(株式会社 最上インクス 代表取締役社長)

要旨: ものづくり産業の現状について、特に中小企業の業況と今後の展望を説明する。中小企業は、令和時代の幕開けとともに変革の時代を迎え、様々な取り組みに挑戦している。その内容について、「株式会社 最上インクス」及び「京都試作ネット」の挑戦を事例として紹介する。併せて、採用に関わる立場から、令和時代に必要とされる人材について、現場レベルの意見も交えながら解説していきたい。

関連情報:スタートアップを支える理由は金もうけのためじゃない——「京都試作ネット」キーパーソン竹田正俊氏(クロスエフェクト)に聞く

 
2018年度開催

第43回ISEコロキウム(2019年3月25日)
「産業システムとサイバーセキュリティ」
 小林和真 (情報理工学部)

要旨: 制御システムセキュリティセンターや産業サイバーセキュリティセンターでの取り組みを中心に、産業システムにおけるサイバーセキュリティについて活動概要を説明します。また、地域インターネット、次世代インターネット、通信放送融合技術など、これまでに行ってきた研究活動とその成果について解説します。

特別コロキウム(2018年11月28日)
「スタートアップ企業で、ソフトウェア技術者として働く」
 ~スタートアップで13年過ごした、あるエンジニアの経験談~
Mitsutaka Okazaki 岡崎 光隆氏(WAmazing・エンジニアリングマネージャー)

要旨: ソフトウェア技術者として13年近く、スタートアップ企業で連続して働いてきた講演者の経験をもとに、開発の現場はどのような雰囲気なのか、プロダクトのUXや品質はどう磨いていくのか、チーム開発の面白さや、大企業との違いは?などなどを、実体験に基づいてお話しします。また、そもそもスタートアップって何?怖くない?成長できるの?ストックオプションって何?就職したら親は泣きますか?など、素朴なギモンにもざっくばらんにお答えします。

特別コロキウム(2018年11月7日)
「人とロボットと関係性のデザイン」
Takasuke Sonoyama 園山隆輔(T-D-F代表)

要旨: 現代において「定義が曖昧なことば」の二大巨頭、「ロボット」と「デザイン」について、「関係性」をキーワードに紐解きます。「別にデザイナーを目指してるわけではない」という人達にとっても、知っておいた方がいいデザインの大事なポイントを、ロボットデザインの実務をベースに解説し、Human Robot Interactionとデザインとの今後の可能性について語ります。

第42回ISEコロキウム(2018年7月4日)
「デザインとデジタルファブリケーションの交差点」
 伊藤慎一郎 (情報理工学部)

要旨: 「デザイン」、「デジタルファブリケーション」の2つのキーワードを主軸に、その概念と事例を紹介し、思考を深める機会としたい。またこれまで自身が実践してきたプロジェクトも紹介する。今年に新しく開設され、ファブスペースが始動している情報理工学部におけるデザインとデジタルファブリケーションの関係についても議論したい。今後の活動に向けての「問い」を共有しつつ、良いデザインとは何かについて考える時間となれば幸いである。

第41回ISEコロキウム(2018年6月6日)
「音の性質と加工技術の紹介」
 川村 新 (情報理工学部)

要旨: 最初に,音の性質と人間の聴覚について説明する.次に,音を加工する技術について,実演を交えて紹介する.紹介する技術は,雑音を除去する技術,音を分離する技術,発話支援システムなどを予定している.また,私が考える「音技術が活躍する未来」についても触れる.講演の一部では,ステレオ音源を聞いていただくため,イヤホンを利用する.より効果的な受講のために,参加者にはスマートフォンまたはPCとイヤホンの持参を推奨する.

 
2017年度開催

特別コロキウム(2017年12月13日)
「当事者と進める『共遊楽器』開発プロジェクトとHaptic Design Projectの紹介」
 金箱淳一(慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 研究員)

要旨: 今回はラピッドプロトタイピングによる各プロダクトの制作フローについて紹介し、作ったものを人に触れてもらいながら改良するモノづくりの方法を共有する。また、美術館で実践した音の触り心地でサウンドアートを鑑賞するワークショップをはじめとした、触覚からデザインにアプローチするHaptic Design Projectについて紹介する。

キーワード:ラピッドプロトタイピング、インタフェース、インタラクションデザイン、触覚デバイス、Haptic Design

第40回 CSEコロキウム(2017年6月7日)
「人間と人工物との持続的なインタラクション」
 棟方渚(インテリジェントシステム学科)

要旨: 学部生の頃から現在に至るまでの研究を,自身の興味やモチベーションを軸に紹介する.具体的には,エンタテインメント・コンテンツとしてのコンピュータゲームやロボットを用いた直感的に操作できるコントローラ(インタフェースシステム)の開発,コミュニケーションロボットの研究,病気治療用のトレーニングシステムなどを紹介する.興味の赴くままに開発した自身の研究活動歴を時系列で説明する.

特別コロキウム(2017年4月26日)
「デザインとテクノロジーの融合とデジタルファブリケーション」
 伊藤慎一郎 (九州大学大学院 芸術工学研究院 テクニカルスタッフ)

要旨: 大学にて音響設計、大学院にてインクルーシブデザインを専攻し、修士号取得後、デザインとテクノロジーの交差点として3Dプリンターやレーザーカッターなどを活用した、デジタルファブリケーションを主軸に大学にて教育と企画に従事している。デジタルファブリケーションについては、海外・国内のファブラボでのプロジェクト、FabAcademyの内容などを紹介する。国際的なデジタルファブリケーションのネットワークであるファブラボやオープンデザインについての理解が深まれば幸いである。また、オランダ・アムステルダムでの留学、インターンを経て、国際的なプロジェクトも仕事の一つとしている。MediaLAB Amsterdam(オランダ)でのプロジェクト、デザイン思考を活用した国際連携産学連携プロジェクト「Design Across Cultures」などの海外とのプロジェクトの事例を紹介する。デザインとテクノロジーの関係、また日本にいながら国際的に働くということを共に考える時間となれば幸いである。

キーワード:デジタルファブリケーション、デザイン、留学、デザイン思考、オランダ

 
2016年度開催

第39回 CSEコロキウム(2016年11月2日)


「UC Santa Barbaraにおける在外研究」報告
 中島伸介(ネットワークメディア学科)

要旨: 2015年9月から2016年9月までの1年間、米国カリフォルニア州サンタバーバラに位置するUniversity of California, Santa Barbara(UCSB),Four Eyes LabにてVisiting Scholarとして滞在しました。まずは、滞在中にUCSBの研究者と共同で行った、コスメ商品に対するレビューの自動スコアリング方式とレビュー推薦方式に関する研究について説明させていただきます。なお、共同研究者である、Dr. O’Donovanがアイルランド人、Dr. Kangが韓国人、私が日本人ということで、各言語圏におけるユーザインタフェースの好みの違い、スコアリングの違い等についても分析を行いましたので、ご紹介致します。その他、在外研究の出発前の苦労..滞在中の楽しみ..帰国準備の苦労..についてもご紹介させていただきます。今後、留学や在外研究をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

特別コロキウム(2016年7月13日)
「日本の電機産業の今後について」
網野 忠 氏(サンガテクノロジー合同会社 代表)

要旨: 1980年代に世界中の電機製品を作り、隆盛を誇っていた日本の電機業界は、今や風前の灯です。不正経理が発覚した東芝や過去の過剰投資の負担にあえぐシャープは言うに及ばず、かつてはイノベーションの代名詞であったソニーも復活の道半ばです。如何にして優秀な日本の技術者を日本で活躍してもらうか、その技術を日本の後進の方々にどのように伝承していくのかが喫緊の課題と考えます。日本と韓国の両方の電機メーカーでの勤務経験から、日本の会社ならではの強み、韓国や中国の会社にはない日本の商品開発とは何かについて、意見を述べます。また、韓国の情報セキュリティの厳しさをお伝えし、今後の技術情報の扱い方について考えます。最後に、電機メーカーをスピンアウトした技術者たちの取り組みについて、いくつか紹介いたします。

第38回 CSEコロキウム(2016年6月22日)


「研究者・研究コミュニティのインターネットメディア活用」
 平♯重行(インテリジェントシステム学科)

要旨: インターネットが普及し、あらゆる物事の情報化がなされる現在、学術研究成果のアーカイブの観点からは、「論文」以外の様々な形でも成果を残すことが可能となっている。そこで、今回のコロキウムでは、研究分野や内容に多少は依存する話ではあるものの、インターネットメディア(例:YouTubeやニコニコ動画、SNS、その他Webページなど)を活用して、科学やテクノロジーの内容を「論文」以外の手段として社会還元することについて述べる。主には平井がこれまでの研究活動や学会で行ってきたことを元に紹介を行うが、これは個別の研究内容だけでなく研究者自身、研究分野、ひいては学会や大学などの組織に関する広報的側面やインターネット上のプレゼンスに関する話でもある。現在の研究者や大学関係者が意識すべきこととも言え、その点での議論も行う。

キーワード: Web、動画共有、動画中継、SNS、オープンソース

第37回 CSEコロキウム(2016年5月11日)


「行列固有値問題のための可積分アルゴリズム」
 赤岩香苗(インテリジェントシステム学科)

要旨: コンピュータを使って線形代数の問題を解く数値線形代数の分野の中でも、「行列固有値問題」はとりわけ重要な研究トピックです。また、「可積分系」は、厳密解をもつ非線形な方程式のことで、ソリトン(孤立波)などの物理的な現象を背景にもちます。本講演では、行列固有値問題に対する「可積分系」からのアプローチを紹介します。特に、講演者がこれまで取り組んできた、可積分系に基づく逆固有値問題(指定した固有値をもつ行列を構成する問題)の解法について説明します。

 
2015年度開催
 

第36回 CSEコロキウム(2015年10月14日) 注意)場所:14103教室


「ヒトと昆虫の運動機能の解明に向けて」
nagaya 永谷直久(インテリジェントシステム学科)

要旨: 本講演では、導入として永谷がこれまでに取り組んできた研究を紹介する。その中でも特に今年度新たに進展のあった下記2テーマに関しての内容から最近の研究結果を紹介したい。

【研究テーマI】前庭感覚電気刺激による回旋性眼球運動への姿勢が与える影響に関する研究
 本研究では、前庭感覚電気刺激による感覚生起機序を明らかにするために座位、仰臥位、側臥位の3姿勢での前庭感覚電気刺激による回旋性眼球運動への影響を検討した。実験結果からは、姿勢による眼球運動への影響に有意差がみられなかったため、これまで私は耳石器を主に刺激しているという説を支持していたが、より詳細に今後検証する必要がある興味深い結果が得られた。

【研究テーマII】微少昆虫のための全方向移動補償装置を用いた移動軌跡計測
 本研究では、アリやシロアリといった微少昆虫がフェロモントレイルなどの形成されていない未知環境において、どのような情報に基づき移動経路の選択を行なうのかを明らかにするための運動補償機構を有した実験装置の開発を行なってきた。今回は開発した装置を用いて計測した移動軌跡と今後の展望に関して述べたい。

特別コロキウム(2015年7月8日)


Unity-インタラクティブコンテンツを民主化するゲームエンジン-」
yanase 簗瀬洋平氏(Unity Technologies Japan

要旨: ゲームエンジンUnityは、オーサリング環境や物理シミュレーションエンジン、プログラミング環境などを含む統合開発環境として利用でき、家庭用ゲーム機やスマートフォン・タブレット端末、PCなど様々なプラットフォーム向けのゲーム開発に利用されている。また、3Dモデルやテクスチャ画像、サウンド、機能拡張などの部品をAsset Storeで流通させ、ゲームを含めた様々なインタラクティブコンテンツの制作・開発を促進させている。その制作開発効率の良さや機能の豊富さ、個人利用者(学生や教員個人を含む)であれば無料で利用可能なことから、最近ではゲーム開発に限らず、趣味的な個人開発者、企業や大学の研究開発現場に至るまで、応用範囲が拡がっている。今回の講演では、Unityの数々の機能やこれまでの普及の経緯、具体的な活用例などを紹介し、今後の可能性を議論する。

開催記録

特別コロキウム(2015年7月1日) 注意)場所:14103教室


「スウェーデンにおけるゲーム研究」
 林正樹准教授(ウプサラ大学ゲームデザイン学科/スウェーデン)

要旨: ゲームというジャンルがカバーする範囲は広大です。コンピュータサイエンス、ビジュアライゼーション、ユーザーインターフェース、芸術、社会科学、心理学、教育、など多方面の知識の集合としてゲーム開発がなされています。同時に、ゲームほど新しい分野はないかもしれません。その歴史は古いですが、それが、ある学術分野を形成するかもしれない、という風になってきたのはつい最近のことです。
 私はスウェーデンのウプサラ大学のゲームデザイン学科で、ゲームに関する研究教育の仕事をしています。今回、その中で、ゲームに関係する研究をいくつかご紹介したいと思います。私が直接手がけている、テキスト台本からCGアニメーションを自動生成するTVMLのゲームエンジンUnityへの展開によるゲーム応用、同エンジンで構築したバーチャルミュージアムにおけるLean-forwardとLean-back共存の試み、そして、脳計測をゲーム開発に応用する仕事の紹介などを通して、科学と芸術の関係性のお話などもしてみたいと思います。
 スウェーデン在住3年ですので、ついでに、かの地と日本の違いの雑談もできるかもしれません。

開催記録

第35回 CSEコロキウム(2015年6月3日) 注意)場所:14103教室


「里山での活動を支援するセンサネットワーク環境の研究開発」
segawa 瀬川典久(コンピュータサイエンス学科)

要旨: 今回の講演内容は、瀬川がここ5年取り組んできた研究内容である。
 本研究では、携帯パケットなどの無線通信のインフラが乏しい特性を考慮し、特に里山で無線通信インフラ整備が行われていなくても利用できるセンサフィールドを構築し、里山での活動を捉えるためのセンサノードの開発の開発を行う。特に、(a)林業、登山者などの里山の中で活動する人々の活動を捉えるセンサノードの開発、(b)里山に住む動物の生態を調べるセンサノードの開発、(c)自然災害を察知し対策するセンサノードの開発を行う。また、里山で活動している人、都市で活動している人達に、里山の状況を伝えるためのアプリケーションの構築を行う。
 また、本研究で試作したセンサノードを岩手県内で構築する試験環境に設置し、さまざまなデータを取得する。得られたデータを元に、運用コストと得られるメリットの対比を通じ、里山でのセンサネットワークの実用可能性を評価する。

第34回 CSEコロキウム(2015年5月13日)


「伊藤浩之がイスラエルでBMIと出会った」
伊藤浩之 伊藤浩之(インテリジェントシステム学科)

要旨: 昨年度秋学期の自由研究員期間中にイスラエル・エルサレムにあるヘブライ大学に1ヶ月程度滞在した。日本人には余りなじみの無い中東世界、ユダヤ人社会で生活したことは多くの刺激を受けると同時に、ユダヤ・パレスチナ問題の深刻さなどを実感した。エルサレムにはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地がほぼ同じ場所に存在し、紀元前から大変に複雑な歴史が繰り広げられている。コロキウムの前半では、写真や資料などを用いて、私が体験したイスラエルの文化や生活習慣の簡単な紹介を行う。今回、私が25年以上前に脳研究を始めたきっかけとなった論文を発表したVaadiaという研究者の研究室に滞在したが、現在は脳内の神経活動に応じて直接に報酬を与えるニューロンオペラント条件付けやBrain-Machine-Interface(BMI)の実験研究を行っている。この新たな実験の流れは、脳内の膨大な数の神経細胞のネットワークにおいて、外部からのフィードバックに対してどのように自己組織化を行い、脳内外の事象間の因果律の認識や適応的変化が可能となるのかという根本的問題の最も有効な研究方法を提供すると考える。また、近年のBMI研究は機械学習、ロボティクスなどとも融合し、医学・生理学と数理情報工学・メカトロニクスなどを巻き込んだ新たな研究の流れを生み出しつつある。コロキウムの後半では、この新たな研究分野の最近の動向を紹介し、最後に本学部の研究者構成がBMI研究に適している点を指摘し、将来の発展の可能性を説明する。尚、時間の制約からイスラエル滞在記に関しては十分な紹介が出来ないため、別途5月22日(金)のランチタイムトークでも紹介を行う予定である。


2014年度開催

第33回 CSEコロキウム(2014年12月3日)


「脳情報処理のメカニズムを探る多次元脳機能解析」
赤崎孝文 赤崎孝文(インテリジェントシステム学科)

要旨: 生物は外界の様々な物理現象を「感覚」として捉え、脳で情報処理を行い、自らの置かれている状況を把握している。動物、特にヒトを含む高等生物は多種多様な感覚を統合し、付随的な情報も処理して日常生活を送っている。
 今回のコロキウムでは、まず初めに視覚情報や体性感覚情報処理の仕組みを調べてわかった単独感覚の広域情報統合メカニズムについて紹介する。さらに、高度な脳の情報処理の仕組みを理解するために現在取り組んでいる多次元情報解析法についてお話しする。

特別コロキウム(日時:2014年11月5日 13:15-14:45、場所:5号館4F 5407教室
ゲームの力を教育・社会に活用する取り組み
~シリアスゲームとゲーミフィケーション~
kishimoto 岸本好弘東京工科大学 メディア学部 准教授)

要旨: ヒットするビデオゲームには「面白さの仕組み」があります。この「面白さの仕組み」を娯楽目的ではなく、教育など社会活動に役立てるゲームを「シリアスゲーム」と呼びます。また、ゲーム以外の分野においてゲームデザインの考え方を活用することを「ゲーミフィケーション」と呼びます。日本のビデオゲームは技術的にも芸術的にも世界に冠たるものですが、欧米に比べ「ゲームの力の社会的活用」は立ち遅れています。今回は我々の研究成果である数学ゲーム、英語学習ゲーム、サイバーセキュリティ学習ゲームの制作・検証結果と、大学講義や小学校授業でのゲーミフィケーションの活用事例を紹介し、ゲームの力を教育・社会に活用する取り組みについてお話します。

 今回は、本学部の前身である理学部計算機科学科(理学部コンピュータ科学科の改名前の学科名)卒業後、「ファミスタの父」として知られると共に日本のゲーム業界を牽引し続けているクリエイターの1人、岸本好弘先生(現所属:東京工科大)をお招きし、掲題についてご講演頂きます。乞うご期待下さい。

岸本先生の参考情報:
  • 個人ページ
  • Wikipediaエントリ
  • ゲーム大辞典(GameLEXICON)エントリ
  • 著書「ゲームはこうしてできている」[amazon]
  • 著書(一部)「ゲームクリエイターが知るべき97のこと2」[amazon]
  • OBSLive 2011.09.24 Ustream放送(本人出演による経歴や作品の説明)
  • 開催記録
    岸本先生には、話す内容や進行そのものがゲーミフィケーション的要素を持たせたものとして非常に楽しい講演をして頂きました。講演後には、別室にて有志の学生達との懇談会にも参加下さり、学生として学ぶべきことや大切なこと、ゲームデザイン・開発や機器の今後の動向など、いろいろな点で議論を交わしました。

    第32回 CSEコロキウム(2014年10月1日)
    「LSIにおけるソフトエラーの耐性評価手法について」
    吉村正義 吉村 正義(コンピュータサイエンス学科)

    要旨: LSIの大規模化、微細化に伴い、ソフトエラーは記憶素子だけでなく論理ゲートにおいても発生し、チップ当たりのソフトエラーの発生確率は増加する傾向にある。ここでソフトエラーの発生はLSIの誤動作となるとは限らず、セルの構造、発生した箇所、論理構造、発生時の状態、発生後の入力などによって決まる。ソフトエラー耐性の評価手法にはLSIを用いた実測による測定もしくはシミュレーションを用いた方法がある。
     今回はこれら二つの耐性評価手法について紹介する。実機による測定は、ソフトエラーの発生確率はさほど高くないため、効率よく実測を行うことが求められる。シミュレーションによる評価手法は精度と処理時間が課題となっている。現状の耐性評価手法がこれらについてどのように取り組んでいるか紹介する。

    CSE特別コロキウム(2014年7月9日)
    H26年度学部早期卒業者研究発表会
    片山慎也(岡田英彦研究室)「多目的最適化問題のための遺伝的アルゴリズムの改良」

    第31回 CSEコロキウム(2014年6月4日)
    「脳における画像の分解表現と高次の特徴抽出」
    田中 宏喜 田中 宏喜(インテリジェントシステム学科)

    要旨: 画像情報が、脳内でどのように伝達されているのかは、視覚情報科学における重要な問題です。これまでの研究から、脳視覚情報処理経路の初期段階で、画像は、スパース符号化原理に基づいた効率のよい分解表現が行われて、その情報が運ばれていると考えられています。また、このように分解された情報が、後期の処理段階において、適切に統合されることにより、テクスチャーや3次元立体構造といった、高次の視覚特徴が分析されると考えられています。今回のセミナーでは、私のこれまでの研究にも触れながら、この視覚情報伝達の脳内メカニズムを紹介します。

    第30回 CSEコロキウム(2014年4月9日)
    Accurate numerical solutions to the time-dependent Schrödinger equation
    Prof. Wytse van Dijk (McMaster University, Hamilton, Canada)
    Abstract: The Schrödinger equation is frequently employed to describe non-relativistic quantum systems. A generalization of the often-used Crank-Nicolson method of obtaining numerical solutions to the time-dependent Schrödinger equation is presented. This approach leads to improvement in the attainable precision of more than ten orders of magnitude along with several orders of magnitude reduction in computational time. For illustrative purposes the method is applied to some well-known systems, and its results are compared to those of earlier approaches and to more recent generalizations. Extensions to multi-channel Schrödinger systems and some more complicated analytic solutions for testing the numerical methods will also be discussed.

    2013年度開催

    第29回 CSEコロキウム(2014年1月8日)
    「脳活動から情報を読み解く」
    圓山由子 (インテリジェントシステム学科)

    要旨: 脳は手足の運動や各種の感覚など日常生活や生命維持にかかわる様々な情報を司っており、古来より研究対象にされてきました。しかしながら、脳の情報処理メカニズムについては未だ解明されていない部分が多く、現在も様々なアプローチで研究が行われています。
     今回の発表では、 私が研究対象としている一次視覚野ニューロンの活動について実際に記録されたデータ及び解析結果の紹介とともに現在提案されている様々な記録手法や解析法についての簡単なレビューを行います。また、この機会に脳科学に対する実験 的アプローチに対する期待や疑問等について皆様と議論できたらと考えております。

    第28回 CSEコロキウム(2013年11月6日)
    「量子情報物理の最近の話題」
     外山政文 (コンピュータサイエンス学科)

    要旨: 量子情報物理に関する最近の話題を幾つか取り上げます。
    量子エンタングルメント(絡み合い)は量子情報の資源」という謳い文句が使われるようになって久しいですが、本コロキウムでは、その量子エンタングルメントをキーワードに、最近の話題、および、関連する研究成果など、多彩な量子情報物理の一端について、話したいと思います。
    話題としては、「小澤の不等式と不確定性原理」、「量子テレポーテーションの最近の話題」、「第3のコンピュータ」、「量子アルゴリズム」などから幾つか取り上げる予定です。

    第27回 CSEコロキウム(2013年10月2日)
    「Data Analysis for Search and Communication on Real and Virtual world」
    河合由起子 河合由起子 (インテリジェントシステム学科)

    要旨:I present research of real time search and communication technology for real world and virtual world such as web and sns services. First, I present a developed system of page-centric communication and search system. The system provides a communication interface attached to pages, which allows users to talk with each other in real time while browsing the same page. It can efficiently provide two ranking lists of pages and users based on a hybrid structure of hyper links (page-page relationship) and social links (page-user relationship and user-user relationship). Then, I propose a communication system connects each user of SNS and Web based on location on realtime. Last, I propose predicting method of a user future behavior in real world by user behaviors in virtual world.

    第26回 CSEコロキウム(2013年7月10日)
    H25年度学部早期卒業者研究発表会
    1. 垣内友希(蚊野浩研究室)「「光線空間法を用いたデジタルトモシンセシス画像の生成」
    2. 成田圭我(岡田英彦研究室)「区間入出力ニューラルネットの進化的学習に関する研究」

    第25回 CSEコロキウム(2013年6月5日)
    「記号モデル検査による形式的論理設計検証」
    平石裕実 平石裕実 (ネットワークメディア学科)

    要旨:コンピュータシステムやそれを内蔵する論理システムの開発では、設計の段階で設計誤りが無い事を十分検証することが重要です。従来、設計検証手法として、論理シミュレーションが広く用いられています。しかしながら、全ての可能性を考えたシミュレーションは不可能で、また、膨大なシミュレーション結果の解析も時間とコストがかかり困難になります。このような問題を解決するためには、設計誤りの有無や設計が仕様を満たしているかどうかを数学的に証明する形式的設計検証を行うことが重要になります。本コロキウムでは、形式的検証手法の中で、実用規模の設計検証へ適用が可能な、記号モデル検査を用いた検証手法を中心に紹介します。

    第24回 CSEコロキウム(2013年5月8日)
    「動的再構成VLSI技術と非線形力学系理論からの人工神経系構築へのアプローチ」
    鳥飼弘幸 鳥飼弘幸 (コンピュータサイエンス学科)

    要旨:生物の神経細胞や脳は最も洗練された非線形力学系と言っても過言では無いでしょう。
     また脳はそのハードウェア構成を動的に更新することによって機能の一部を実現していると考えられています。
     一方、近年、その動作中に自身の回路図を動的に書き換えることが出来るハードウェアである「動的再構成VLSI」が実用化のフェーズを迎えつつあります.この様に、最新のハードウェア技術と生物が進化の過程で獲得してきた非線形ハードウェアに不思議な符号が見られる事は、ハードウェア技術と非線形力学系理論を研究対象としてきた小生としては見逃すことは出来ません。
     本講演では、動的再構成VLSI技術と非線形力学系理論からの人工神経系の構築へのアプローチを紹介し、その神経補綴やBoIP(Brain over IP)への応用について議論したく思います。

    第23回 CSEコロキウム(2013年4月10日)
    「近未来住宅の研究:インタラクションやメディア表現の観点から」
    平#重行 平#重行(インテリジェントシステム学科)

    要旨:人間の文化的生活を営むための3大要素「衣食住」は、いずれも時代と共に文化交流や生活様式の変化、および科学技術の発展と共に進歩している。今回のコロキウムでは、その3大要素の1つ「住環境」に焦点をあて、本学部所有の実験住宅ΞHome(くすぃーほーむ)での研究を中心に、情報技術による住宅の進展について紹介する。特にヒューマンコンピュータインタラクションとユビキタスコンピューティング、そしてメディア表現の観点から、人の生活と住宅環境のあり方について述べる。


    2012年度開催

    第22回 CSEコロキウム(2013年1月9日)
    「インタラクション研究の光と影」
    水口充 水口充(ネットワークメディア学科)

    要旨:ヒューマンコンピュータインタラクションおよびエンタテインメントコンピューティングは、急速に進展した活気のある分野である。しかし、学際的であり人文社会分野や芸術分野との関連も強いこともあって、研究分野としての本質が未だ理解されにくいと感じられることも少なくない。今回のコロキウムでは、これらの研究分野について特色や悩みなどを事例を交えて紹介する。

    第21回 CSEコロキウム(2012年12月5日)
    「地殻活動に伴って励起される電磁波パルスの検出による地震発生予測の研究」
    筒井稔 筒井稔(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:力学的エネルギーの散逸過程では様々な形態の波動が発生する事は容易に想像できる。 地震発生の前段階で地下岩盤に衝撃的な応力印加が始まった場合、圧電効果により電磁波パルスが発生するだろうとの仮説の下、それを検出し、その波源位置を特定し、その後に発生する地震との空間的関係および時間的傾向を明らかにする事により、電磁波を手段とした地殻活動のモニター方法を確立させ、最終的には地震発生予測に繋げようとするのが本研究の目的であり、これまでの研究の経緯と現状を紹介する。

    第20回 CSEコロキウム(2012年11月7日)
    「人間の情報処理の理解に向けて-脳活動計測からのアプローチ」
    奥田次郎 奥田次郎(インテリジェントシステム学科)

    要旨:「人間にとって使いやすいコンピュータ環境の構築」を追求するにあたっては、「人間自身の情報処理」の理解がひとつの鍵となってきます。しかしながら、多様な側面を持つ「人間」をどのように分析・理解してゆけるかは大変難しい問題です。ここでは、人間の行動や認知活動に伴う脳の様々な生理活動の計測を通して、その情報処理基盤を探ってゆく研究の流れについて紹介し、それらの知見を社会・工学的に応用する近年の試みについて触れたいと思います。

    第19回 CSEコロキウム(2012年10月3日)
    「移動通信と伝搬研究 -伝搬研究者の戯言-」
    竹内勉 竹内勉(ネットワークメディア学科)

    要旨:携帯電話でお馴染みの移動通信(世間には通じない学会用語)は様々な経緯を経て今や,スマホの足回りを固める重要な役割を担っているはずなのですが,なかなか世間には認定されていないようです。移動通信における電波伝搬の役割について再認識していただけるようなお話をして,携帯電話や無線LANといった移動通信の今日的問題を指摘したいと思います。

    第18回 CSEコロキウム(2012年6月6日)
    「プログラミングにおけるモダン」
    青木淳 青木淳(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:現代のプログラミングを下支えしている仮想マシンのオブジェクトメモリの構造 や機能そして発生を簡単に紹介した上で、ちょっとしゃれた(閉包:closureや 継続:continuationなどを用いた)プログラミングをライブで披露しながら、人はいかにしてプログラマになるのかに言及する。

    第17回 CSEコロキウム(2012年5月2日)
    「人の生活・心を豊かにするために ー感性工学によるアプローチー」
    荻野晃大 荻野晃大(インテリジェントシステム学科)

    要旨:人を取り巻くモノや情報に対する人の印象や感情を工学的に数量化し、人の生活や心を豊かにするような製品や情報サービスを開発することが「感性工学」の目的である。CSEコロキウムでは、感性工学の概論と私の取り組んでいる研究について述べる。

    第16回 CSEコロキウム(2012年4月11日)
    「新しい情報価値の創造に向けて~自然言語処理と情報検索の観点から」
    宮森恒 宮森恒(ネットワークメディア学科)

    要旨:現在、コンピュータによる言葉や画像・映像等の意味解析レベルは表層的なものに過ぎず、人間による深い意味理解のレベルとは依然として大きくかけ離れてい る。ここでは、そのギャップを少しでも小さくし、日常生活や社会に役立つ新しい価 値創造を目指すための要素技術として、自然言語処理、情報検索・情報抽出を取り上げ、その概要や難しさ、最近のトピックを紹介する。


    2011年度開催

    第15回 CSEコロキウム(2011年12月7日)
    「有機エレクトロニクス:高効率白色発光有機半導体素子開発最前線」
    坪井泰住(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:節電に向けて省エネ電気製品の開発が求められている。コンピュータ、ディスプ レイ、照明などでのシリコンエレクトロニクスに代わる有機エレクトロニクスの 寄与が期待される。高機能ディスプレイ、薄型平面照明の基盤となる白色発光有 機EL素子の高効率化に向けた最近の技術開発とその原理について述べます。

    第14回 CSEコロキウム(2011年11月2日)
    「情報の信憑性に関する研究紹介」
    中島伸介 中島伸介(ネットワークメディア学科)

    要旨:平成20年3月25日~平成23年3月31日の期間に,河合研と中島研にて受託した総務省系のプロジェクト「電気通信サービスにおける情報信憑性検証技術に関する研究開発(Webコンテンツ分析技術)」にて実施した研究内容について,他の参画機関の研究内容を含めて紹介する.

    第13回 CSEコロキウム(2011年10月12日)
    「ユーザインタフェース評価および進化計算応用に関する研究紹介」
    岡田英彦 岡田英彦(インテリジェントシステム学科)

    要旨:岡田(英)研究室で取り組んでいる掲題分野の研究として,
    ・Webアクセシビリティ自動評価手法
    ・テーブルゲームへのARユーザインタフェース応用
    ・ロボカップサッカーへの遺伝的アルゴリズム応用
    に関する研究を紹介する.

    第12回 CSEコロキウム(2011年7月13日)
    「プログラムの難読化技術」
    玉田春昭 玉田春昭(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:プログラムを読みにくくする難読化という研究分野についてお話します.通常,プログラムは読みやすく書くものです,しかし,近年では,プログラムを読みにくくする技術への需要が高まりつつあります.理由の一つに,デジタル技術の浸透に伴う不正コピーの増加への対策が挙げられます.そこで,不正コピー対策全般について紹介し,不正コピー対策技術の中でも特徴的な難読化についてお話します.また,プログラムの読みやすさとは何かを議論できればと思っています.

    第11回 CSEコロキウム(2011年6月8日)
    「Facebookデータセンターの仕様公開を受けて」
    安田豊 安田豊(ネットワークメディア学科)

    要旨:先の4月に Facebook が自社専用のオレゴンに設置した省電力・低コストなデータセンターの仕様を公開しました。これを受けて5月に京都で「Facebookデータセンター仕様を読んでツッコミを入れる会」を開催し、非常に幅広い参加者で意見を交換する機会を得ました。クラウド・アーキテクチャは従来的なコンピュータシステムに対して非常に多面的な変化をもたらすものです。この機会に再び学生さんを含めて多くの方の意見を聞いてみたいと思います。

    第10回 CSEコロキウム(2011年5月11日)
    「ニュートリノの質量を追って」
    岡田憲志 岡田憲志(インテリジェントシステム学科)

    要旨:ニュートリノは、ベータ崩壊においてエネルギー保存則が破れるのを救うため、パウリによって1930年に予言された仮想的な粒子でした.それが実験的に初めて観測されたのは、それから26年も後の1956年で、原子炉で作られた反電子ニュートリノをライネスたちが検出しました.以後長い間、ニュートリノは標準理論の枠組みどおり、光子と同じ質量のない粒子だと信じられていましたが、それから42年後1998年に実は質量がある事を、戸塚の率いるスーパーカミオカンデのグループが「ニュートリノ振動」という方法で見つけました.この発見によって、素粒子論の枠組みである弱い相互作用の標準理論を書き換えなければならない事になりました.その質量がいくらなのかは重要な条件となりますが、13年後の今もまだ決まっていません.これはニュートリノが極端に検出の難しい粒子である上に、「ニュートリノ振動」で得られる物理量は、3種類のニュートリノの質量差だからです.ここでは、ニュートリノの質量を決める事が出来る唯一の測定方法かもしれない「二重ベータ崩壊」について紹介します.この方法は検出の難しいニュートリノを直接測定するのではなく、ニュートリノが放出されないベータ崩壊事象である「ニュートリノなし二重ベータ崩壊」を検出する事でその質量を決めるユニークな方法です.現在世界の地下実験施設で検出競争が始まっています.


    2010年度開催

    第9回 CSEコロキウム(2010年12月8日)
    「Objective-Cとソフトウェア開発」
    荻原剛志 荻原剛志(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:Mac OS XやiPhoneのアプリケーション記述言語であるObjective-Cの概要を示します。また、Mac上でモジュールを接続する技術である、Cocoaバインディングについても紹介します。

    第8回 CSEコロキウム(2010年11月10日)
    「デジカメ画像処理のしくみ」
    -進化を続けるディジタルカメラ技術のしくみを解き明かす
    蚊野浩 蚊野浩(ネットワークメディア学科)

    要旨:デジカメ元年とされる1995年には,30万画素程度の画像を,数MBのフラッシュメモリに100枚程度記録できたにすぎなかったデジカメが,現在では,1,000万画素以上の画像を10GB以上のメモリカードに数千枚も記録できるのが普通です。このような,デジカメ技術の現在・過去・未来を俯瞰しながら,そこで利用されているデジカメ画像処理のしくみを解説します。

    脳・インテリジェンス・メディアの会・セミナー(2010年7月12日)
    「近赤外光脳活動計測(NIRS)の現状と問題点」
    江田英雄(光産業創成大学院大学准教授/株式会社フォトニクス・イノベーションズ代表取締役)

    要旨:脳の活性化をはかるという社会現象に伴って、NIRSが注目されている。しかし、NIRSはもともと光計測の変化量に基づく定式化を行っているために、絶対値の議論をしにくい。また画像化にあたってもいろいろな問題点がある。NIRSの原理から使われ方の現状にいたる問題点を指摘し、解決方向を検討する。

    第7回 CSEコロキウム(2010年7月7日)
    「証明とプログラムの対応」
    小林聡 小林聡(インテリジェントシステム学科)

    要旨:証明とプログラムの間に密接な対応関係があることは古くから知られているが、この一般化に関する小林の研究を紹介する。最近は学習理論やゲーム意味論との関係も明らかになってきた。当日はゲーム意味論のデモも行う予定である。

    第6回 CSEコロキウム(2010年6月2日)
    「並列処理『残酷物語』 ~現在・過去・未来~」
    新實治男 新實治男(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:最近のマイクロプロセッサのマルチコア化が進行する中で,いよいよ「並列処理」を避けて通れない状況になりつつある。古くて新しいこの技術について概観し,現状の問題点や課題などに触れる。

    第5回 CSEコロキウム(2010年4月7日)
    「NetBoot技術による情報教育環境 -OSSP方式の可能性と限界-」
    大本英徹 大本英徹(ネットワークメディア学科)

    要旨:コンピュータ理工学部では,学生個人のMacBookを持ち込む事により教育用端末として活用できる情報教育環境を構築しており,このシステムをOSSP(Operating System Service Provider)方式と称している。ここでは,本システム導入の背景や設計思想,アーキテクチャ,及び,機能限界などについて解説する。


    2009年度開催

    第4回 CSEコロキウム(2010年1月13日)
    「ロボットと共に暮らす」
    上田博唯 上田博唯(インテリジェントシステム学科)

    要旨:対話ロボットに関する研究を二例紹介する。一つ目は家そのものがロボットである実験住宅の中で対話ロボットと共に生活する生活者とロボットの間に生じる関係について、二週 間の実生活データから得られた分析結果に関するものである。二つ目は対話型ロボット を、いくつかのシチュエーションで動作させ、そのときの小さな仕草の違いが、ひとに与え る印象をどのように変化させるかということに関する研究である。そして、最後に今、平井先生と一緒に計画している「ΞHome(くすいーホーム)」について簡単に報告する。

    第3回 CSEコロキウム(2009年12月9日)
    「耐故障分散システム」
    林原尚浩 林原尚浩(コンピュータサイエンス学科)

    要旨:コンピュータシステムの耐故障性は,サービスを永続的に提供するためには不可欠な要素であるが,多くのシステムで施されている耐故障機構はアドホック(その場しのぎ)に実装されているため,実際故障が発生した場合,効果的に動かない場合も多く,サービスの停止などによる莫大な損害を出すケースも報告されている.故障に強いシステムはどのように作られているか,また,そのようなシステムを効率的に作成しシミュレーションを行うツールなどを紹介する.

    特別コロキウム(2009年12月4日)
    「神経科学の新しい潮流 – 観測・相関・解釈からダイナミクス・予測・制御へ」
     川人光男(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 ATR脳情報研究所所長/ATRフェロー)

    要旨:システム神経科学は、ヒトを対象としたイメージング手法の発展や計算論的研究によって格段の進歩を遂げましたが、因果関係を証明するというハードサイエンスとしてはいまだ揺籃期と言えます。行動と脳活動を観測し、仮説やモデルのある側面をとらえた表現と脳活動が相関があることを示して、脳の情報処理に関して解釈するのがこれまでのシステム神経科学の本流でした。これを、ブレインマシンイ ンタフェースの手法、計算モデルに基づいた実験により、行動と脳活動の複合したダイナミクスを予測し、データから内部表現を導き出し、それを実験的に制御する新しい方法論について、話します。

    第2回 CSEコロキウム(2009年11月4日)
    「分散システムとミドルウェア」
    秋山豊和 秋山豊和(ネットワークメディア学科)

    要旨:TCP/IP stackは遠隔地にあるコンピュータ間での通信を実現する上で,様々な問題から我々を開放してくれた.近年のインターネットの普及は,分散システムにおけるミドルウェアの重要性を示していると言える.しかし,一方でミドルウェアの存在が新たな問題を生み出しているという見方もある.これからのコンピュータネットワークにおけるミドルウェアはどうあるべきなのか? いくつかのミドルウェアを例にあげて,その可能性と課題について紹介する.

    第1回 CSEコロキウム(2009年10月14日)
    「脳とコンピュータの融合は何をもたらすのか?」
    伊藤浩之 伊藤浩之(インテリジェントシステム学科)

    要旨:近年の生体信号測定技術の進歩に伴い、人の脳活動を記録し、コンピュータが記録データをリアルタイムに判別することで、筋肉を動かすことなく、まさに「考えるだけで」外部物理デバイスを操作するという技術が注目を集めている。これは、昔から「念力カーソル」として噂されてきた技術であり、攻殻機動隊やマトリックスなどのSFで描かれている世界へとつながる一歩であるとイメージすると分かり易い。脳神経科学と工学(コンピュータ、ロボティクスなど) を融合させるこれらの試みは、ブレイン・マシン・インタフェースやブレイン・コンピュータ・インタフェースと呼ばれている。談話会では、この新奇な研究分野の簡単な紹介を行う。特に、脳科学研究に対して何をもたらす可能性があるのか、またどのような問題点(研究方法、倫理、社会問題など)が予想されるのかをわかりやすく説明する。